肺炎球菌ワクチンについて知っておきたいこと ~PCV20とPPSV23の違いと接種のすすめ~
肺炎は高齢者や基礎疾患を持つ方にとって、命に関わる深刻な感染症です。その予防には、肺炎球菌ワクチンが大きな役割を果たします。最近話題の**PCV20(20価肺炎球菌結合型ワクチン)**について、日本と世界の接種推奨の違いも含めてわかりやすくお伝えします。
イメージはAIで作成しています肺炎球菌ワクチンとは?
肺炎球菌ワクチンは、肺炎の原因となる肺炎球菌の感染を予防するためのワクチンです。これまで日本では以下の2種類のワクチンが使用されてきました。
1. PPSV23(23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン)
- 対象菌種: 肺炎球菌の23種類に対応。
- 免疫の仕組み: ポリサッカライド(糖鎖)のみで免疫を誘導。
- 特徴:
- 対応する菌の種類が多い。
- 免疫記憶は弱く、効果の持続が短い(約5年)。
- 接種対象: 日本では高齢者や基礎疾患を持つ方に定期接種として推奨されています。
2. PCV15(15価肺炎球菌結合型ワクチン)
- 対象菌種: 肺炎球菌の15種類に対応。
- 免疫の仕組み: 糖鎖にタンパク質を結合させ、より強い免疫記憶を誘導。
- 特徴:
- 対応する菌の種類は少ないが、免疫の質が高い。
- 小児や基礎疾患を持つ成人にも推奨。
新たな選択肢:PCV20
PCV20は、PCV15の改良版として、20種類の肺炎球菌に対応した新しいワクチンです。海外では近年導入され、2024年から日本でも接種可能になりました。
PCV20の特徴
- 対応菌種: 20種類の肺炎球菌(PCV15 + 5種類の追加)。
- 免疫の質: タンパク結合型で、より長期の免疫効果を期待。
- 接種回数: 一度の接種で十分な免疫効果が得られる。
世界と日本の接種推奨の違い
世界的な推奨(例: 米国疾病対策予防センター)
- PCV20を1回接種することで、幅広い肺炎球菌感染症の予防を完結できます。
- PPSV23の接種は推奨されていません。
日本での推奨
- PPSV23が定期接種として推奨されています。
- PCV20の接種:
- PPSV23を接種した方にもPCV20が推奨される場合があります。
- より高い免疫効果を得るために、組み合わせて接種することで、20種類以上の肺炎球菌に対応可能。
肺炎球菌ワクチンを接種すべき人は?
以下の方は、肺炎球菌ワクチンの接種を特におすすめします:
- 65歳以上の方: 高齢になると肺炎のリスクが増加します。
- 基礎疾患を持つ方: 心臓病、糖尿病、腎不全、免疫抑制状態など。
- 喫煙者やアルコール多飲者: 肺炎のリスクが高い行動因子を持つ方。
PCV20とPPSV23をどのように接種するの?
日本では、PPSV23とPCV20の組み合わせ接種が推奨される場合があります。以下は一例です:
接種スケジュールの例
- PPSV23を接種後、1年以上経過した方:
- PCV20を追加接種することで、幅広い菌種に対する免疫を補完できます。
- まだ接種していない方:
- 医師と相談し、PCV20単独接種か、PPSV23との併用を選択します。例えば、65歳から66歳までの方は定期接種となっているPPSV23を接種し、その後PCV20を接種する、それ以外の年齢の方はPCV20単独接種する、などの方法が考えられます。
接種のメリット
- 肺炎の予防効果が高まり、重症化リスクを軽減。
- 新しいPCV20により、カバーされる菌種が増加。
- 一度の接種で長期間の効果が期待。
まとめ
肺炎球菌ワクチンは、肺炎予防において非常に重要な役割を果たします。日本ではPPSV23が定期接種として提供されていますが、新たな選択肢としてPCV20の接種も注目されています。医師と相談し、ご自身に最適な接種方法を選びましょう。
早めのワクチン接種で、大切な健康を守りましょう!
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