スキップしてメイン コンテンツに移動

いま百日咳が増えている理由──日本と米国で違うワクチンスケジュール


0. はじめに

「百日咳の問い合わせが毎日のように来るのはなぜ?」――2025 年春から当院でも同じ質問が急増しています。実際、日本では 2025 年 3 月末までに 4,000 例以上 が報告されています。いま、百日咳は“昔の病気”ではありません。

本記事では、日本と米国のワクチン接種スケジュールの違いに加え、DTaP と Tdap という 2 種類のワクチンの特徴を整理し、いま私たちが取るべき対策を提案します。




1. 百日咳の最新流行状況

日本: 新生児死亡例も報告され、2019 年以来最多の流行。

米国: 2024〜25 年にかけて再流行が拡大。パンデミック中のマスク生活で集団免疫が低下したことが一因と考えられます。

2. 接種スケジュールを比べてみる

日本は 7 歳半以降の百日咳定期接種が存在しない。 
米国では 思春期+妊婦ブースターが標準
成人への定期接種も行われており、家庭内感染予防に貢献。

3. DTaP と Tdap──何がどう違う?




4. 免疫はいつ切れる?

DTaP 4 回完了後の百日咳抗体は 5〜10 年で大きく低下

思春期までブースターを受けない日本では、小学生以上が感染源となり、新生児にうつるリスクが高まります。

5. 日本の最新動向

5 種混合ワクチン(2024 年 4 月〜):百日咳ワクチンは5種混合ワクチンとして、乳児スケジュールを集約。

成人での定期接種はない:妊婦・医療従事者・保育士などリスクが高い人に学会推奨。
学童期ブースター導入の検討

6. いま取るべき 3 つの対策

妊娠 27〜36 週の接種を周知(母子免疫で新生児を守る)。

学童期〜成人への任意ブースター提案:家族に新生児がいる場合は特に重要。
咳が続く大人は百日咳を疑い検査

7. よくある質問 Q&A

Q. DTaP と Tdap、どちらを妊婦に打つ?
A. 高用量 DTaP は副反応が強く成人には適さず、世界的にはTdapが推奨。
Q. 小学生への追加接種は?
A. 現状任意だが、米国では 11〜14 歳で接種している。流行地なら前向きに。
Q. 成人が 10 年毎に Tdap を打つ意味は?

A. 破傷風ブースターのついでに百日咳もカバーできる。家庭に乳児がいる場合は特に有用。


8. まとめ

  • 日本はブースター戦略が弱い → 妊婦・学童・成人への 任意 Tdap が鍵。

  • 当院では Tdapの接種が可能です。お気軽にLINEに登録もしくはメールにてご相談ください!

  • LINE公式アカウント:https://lin.ee/xRVhh7Dz
    ワクチン問い合わせ専用メール:yoheiclinic@gmeil.com

コメント

このブログの人気の投稿

院長の自己紹介:私が医師になるまで①

皆様、改めましてはじめまして! 2024年10月1日から「十日町ようへい内科クリニック」で診療をさせていただいております、院長の中本洋平です。前院長の深瀬洋子先生のご厚意により、この場を引き継ぎ、皆様が健康で豊かな生活を送るお手伝いをさせていただくことを、とても光栄に感じております。どうぞよろしくお願いいたします! この「院長のひとりごと」では、診察室ではお話ししきれない私自身のことや、健康にまつわる様々なお話を、月に一度お届けしていこうと思っています。お時間がある時に、ぜひお読みいただければ嬉しいです。 さて、第1回目の今回は「私が医師になるまで」の道のりを少しお話させていただきますね。 岩手県盛岡市での青春と、早稲田大学での挑戦 私は岩手県盛岡市で生まれました。高校生までは盛岡で過ごし、その後、東京にある早稲田大学の人間科学部スポーツ科学科に進学しました。実はこの学部のキャンパスは埼玉県所沢市にあって、周りは「となりのトトロ」の舞台にもなったと言われる緑豊かなエリア(通称「トトロの森」)です。その自然の中で、大学院までの6年間を過ごしました。 大学では、勉強だけでなく、スポーツにも全力を注いでいました。皆さん、トライアスロンというスポーツをご存知でしょうか?「鉄人レース」とも呼ばれることもある、水泳・自転車・ランニングの3種目を連続して行い順位を競う競技です。オリンピック競技としてもおなじみですね。 実は私、大学からトライアスロンを始めたのですが、なんと学生チャンピオンにまでなることができたんです!そんな経験もあり、大学院を修了するときには、この先の進路についてとても悩みました。 アスリートとしての道を選ぶ 学生チャンピオンになったこともあり、「このまま競技を続けて、日本チャンピオン、さらにはオリンピックも目指したい!」という気持ちが高まっていきました。研究者としての道も考えましたが、学業は修士課程でひと区切りとし、アスリートとしての道を進むことに決めたのです。 次回は、アスリートとしての挑戦から医師への転身についてお話しします。ぜひ楽しみにしていてください!

院長の自己紹介:私が医師になるまで②

 皆様、改めましてこんにちは。十日町ようへい内科クリニックの院長、中本洋平です。今回の「院長のひとりごと」では、私がアスリートから医師を目指すまでの道のりを、少し振り返りたいと思います。 画像はAIで作成しています 「アスリートとしての挑戦と山形とのご縁」 アスリート生活は、なかなか楽なものではありませんでした。スポーツクラブでの指導や学習塾の講師として働きながら、トライアスロンに全力で取り組む日々。経済的には決して楽ではなかったものの、「なんとしても優勝したい!」という強い気持ちで挑んでいました。 その活動の中で、山形県酒田市で開催された大会に出場し、そこで連覇を達成することができました。山形とは今思えば、この時からご縁があったのかもしれません。そして、全国大会の日本選手権でも最高2位に入賞し、オリンピック強化指定選手としての活動も経験しました。 「アスリート生活での試練と挫折」 とはいえ、順調なことばかりではありませんでした。優勝を狙った日本選手権では、コースを間違えてしまい、悔しい結果に終わってしまったことも。また、原因不明の体調不良や度重なる怪我にも悩まされるようにもなりました。また、当時の住まいは、知人のご厚意で借りた4畳の風呂なしアパート。お金もなかったため、エアコンなし、夏は蒸し暑く冬は凍えるほど寒い中で生活していました。ネズミが柱をかじり、屋根裏にはスズメバチまで住み着いていたことも。自分の今後について考え直す機会が増えていきました。 「アスリートとしての成功への情熱と、医師の道への転換」 大学院時代、私は運動生理学の研究に没頭していました。スポーツと体の関係を探究する中で、医学への興味も少しずつ芽生えてきたものの、その頃の私は何よりもトライアスリートとして結果を出したいという思いが強く、医師を目指すことまでは考えていませんでした。「アスリートとして成功したい」という情熱が、当時の私を突き動かしていたのです。 しかし、プロとして本格的に競技に取り組む中で、次第に自身の体調や健康への意識が深まり、怪我や体調不良のたびに医学の知識の大切さを痛感するようになりました。選手としての視点も持ちながら、体を守り、ベストなパフォーマンスを引き出せるサポートができたらどんなに素晴らしいだろう――「スポーツで学んだことを、医師として社会に還元したい」そう考え始...

病気のこと:病気の治療方法

病気はどのように治療するのか こんにちは。十日町ようへい内科クリニックです。健康診断の結果が返ってくる時期ですね。当院にも、健診で「病院を受診してください」とアドバイスを受けて来院される方が増えています。 「病院に行くとすぐ薬が処方されて、ずっと飲み続けることになるのでは?」と不安をお持ちの方も多いようですが、当院では、まず患者さん一人ひとりにとって治療が必要かどうかを慎重に判断しています。また、治療が必要な場合でも、薬だけに頼らない方法を積極的に取り入れていますので、ご安心ください。 治療の流れ 診察の結果、治療が必要と判断された場合でも、特に生活習慣病と呼ばれるような疾患に関しては、まずは「非薬物療法」を提案することが一般的です。非薬物療法とは、生活習慣を見直して体質の改善を図る治療法です。いくつかの具体的な例を紹介します。 非薬物療法の例 栄養療法(食事の見直し) 高血圧 :塩分の摂取を減らし、カリウムを多く含む野菜や果物を増やすことで、血圧が改善されやすくなります。 脂質異常症 :脂質の多い食事を控え、魚や野菜、豆類を多く摂ることで、コレステロールの数値が安定しやすくなります。 運動療法(適度な運動) 糖尿病 :ウォーキングや軽いジョギングなど、定期的な運動が血糖値の安定に効果的です。 うつ病 :身体を動かすことで、気分を安定させるホルモンが分泌され、症状の改善につながることが期待されています。 ストレスマネジメント(心のケア) 不眠症 :就寝前のリラクゼーションや深呼吸を取り入れることで、安眠をサポートする効果が期待できます。 慢性痛 :認知行動療法やリラクゼーション法を取り入れ、痛みの感じ方を和らげるアプローチも広がっています。 非薬物療法は、自身の生活に取り入れることで体質改善を目指す方法で、医師のアドバイスをもとに実践していただくと、より効果が出やすいです。 薬物療法について 非薬物療法で改善が難しい場合や最初に薬物療法が推奨されている病気に対しては、次の段階として薬物療法を提案します。薬を開始する際には、その効果や副作用についても詳しく説明し、患者さんの意思を尊重した上で治療方針を決定します。無理なく治療を続けていただけるよう、患者さんとのコミュニケーションを大切にしています。 おわりに 健康診断で要精査と言われたけれども病院に行くことが不安、病気...