私たちが日々感じる「痛み」。
頭痛、腰痛、関節の痛み、内臓の違和感――その原因はさまざまですが、「どこが痛いのか」を理解するには、実は**からだのつくり(解剖学)**を知ることが重要です。
今回は、「痛みの出どころ」を解剖学的に紐解きながら、病院でどのように診断が進められるのかをご紹介します。
■ そもそも「痛み」はどこで感じるの?
痛みは、皮膚や筋肉、内臓などにある「痛みセンサー(侵害受容器)」が刺激されることで感じます。
その情報は、神経を通って脊髄に伝わり、最終的には**脳(大脳皮質)**で「痛い!」と認識されます。
■ 解剖学的に分類すると、痛みの原因はこんなにある!
1. 体性痛(たいせいつう):皮膚や筋肉、関節の痛み
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例)打撲、ねんざ、筋肉痛、関節炎
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比較的「はっきりと場所がわかる」痛みで、動かすと悪化するのが特徴です。
2. 内臓痛(ないぞうつう):内臓の中からの痛み
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例)胃痛、腸のけいれん、尿路結石
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位置があいまいで、「お腹の奥のほうが痛い」「張ってつらい」と表現されやすいです。
3. 放散痛(ほうさんつう):別の場所に痛みを感じる現象
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例)心筋梗塞で左肩やあごが痛くなる
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本来の発生源とは違う場所に痛みを感じるため、誤解されやすいです。
■ 痛みの“コントロールセンター”は脳にある?
痛みは「感じる」だけではなく、脳の働きで「増幅されたり、和らげられたり」します。これが「中枢性感作(ちゅうすうせいかんさ)」と呼ばれる仕組みです。
たとえば:
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慢性の腰痛や線維筋痛症では、体のどこにも大きな異常がないのに痛みが続くことがあります。
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これは、痛みの信号が脳内で“過敏化”してしまっていることが原因で、「痛みそのものが病気」になっている状態とも言えます。
■ 医療機関での診断の流れ
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問診と視診・触診
いつから、どこが、どんなふうに痛むかを丁寧に聞き、実際に身体を見たり触れたりします。 -
画像検査
必要に応じてレントゲン、超音波(エコー)、CT、MRIなどを行います。筋肉、骨、内臓の異常を詳しくチェックできます。 -
神経学的検査
しびれや感覚の異常があれば、神経の働きを調べる検査(腱反射、感覚テストなど)を行います。 -
血液検査など
炎症や感染、リウマチなどの自己免疫性疾患の可能性も調べます。
■ まとめ:痛みは「場所」だけでなく「しくみ」も大切
「痛いところ=悪いところ」と思われがちですが、実は脳や神経のはたらき、感情やストレスも大きく関係しています。
痛みが続くとき、場所がはっきりしないとき、検査で異常がないときも、「痛みが病気」であることがあります。
つらい痛みを我慢せず、「気のせいかな」と思わずに、どうぞ早めにご相談ください。
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